こんにちは、パフォーマンスラブリーのCoco(@performancelovely)です。
先日、アメリカのユナイテッド航空のB777(ボーイングトリプルセブン)型機で飛行中に起きたエンジントラブルが報道されましたね。
米コロラド州デンバー国際空港近くで現地時間2月20日午後(日本時間21日早朝)、ユナイテッド航空(UAL/UA)のデンバー発ホノルル行きUA328便(ボーイング777~200型機)がエンジントラブルを起こして引き返した際、エンジンをおおうカバーの一部などが住宅街に落下した。
Aviation Wireより抜粋
住宅街にエンジンの巨大な部品が落下している映像などは、とても衝撃的でした。
こちらが衝撃の映像です。
燃えてますよね!飛行中にエンジンが。
今回の件を受けて、ボーイング777型機そのものに問題があるのでは?なんて飛躍した報道もあり、それはちょっと違うのかなと思います。
実は私自身もプライベートで飛行機に乗っていたとき、エンジントラブルで出発空港に引き返すという体験をしたことがあります。
今回は、私の体験と今回の事例から学ぶ2つの結論をお届けしたいと思います。
この記事を書くにあたって、現役のボーイング777型機の機長さんにお話しをおうかがいしました。
私Cocoは国内・国外のエアラインでCA(キャビンアテンダント)の経験があり、現在もフライトをしているCAです。
この記事の2つの結論はこちらです。
- 双発機(エンジンが2つの飛行機)であればエンジン1つでも飛行できる
- 飛行機がからむ予定は決してタイトに組まないこと
エンジン1つでも問題なく飛べるというのは、現役のボーイング777の機長に確認しましたので確かな情報です。
まずは私が体験したエンジントラブルについて。興味ない方は目次から飛ばして読んでみてくださいね。
それでは見ていきましょう。
エンジントラブルで引き返した体験
数年前のことです。国内の某航空会社の便で、乗客として乗っていた私。ベトナムのハノイから帰国するときにそれは起こりました。
飛行機は同じボーイングの最新型機、B787型機でした。
フライトはまだ序盤
離陸後しばらくして水平飛行に入り、いつものようにシートベルト着用のサインが消え、やっとサービスが始まったという段階です。
フライトはまだ序盤で、CAさんたちがペットボトルのお水を全員に配っている段階でした。
私もいつもどおりにIFE(インフライトエンターテインメントサービス)という、座席に設置の個人画面で大好きな洋画を鑑賞していました。
突然機内の電源がおちる!
そのときです。
突然個人画面が消えてしまい、画面が真っ暗になりました。
見渡すとほかの乗客もみんな同じ状況です。さらには同時に機内の照明まで消えてしまったのです。
日中のフライトだったので、機内が真っ暗になる!ということはなかったのですが、ただごとではないという予感は十分ありました。
例えるなら、自宅で電気を使いすぎて電気のヒューズが飛んでしまったとき!まさにあの感じでした。
ざわつく機内、CAさんも右往左往といった様子でした。
機長から引き返すとアナウンスが!
CAさんからも状況が分かり次第ご案内します、といったアナウンスはあったと思うのですが、内心ヒヤヒヤでしたね。
ちょっと、やめて!
しばらくしてやっと機長さんからアナウンスがありました。
「この飛行機の2つあるエンジンのうち片方に異常が見られるため、ハノイ空港に引き返します。」
このタイミングで同時に、エンジンが1つになっても飛行の安全性にはまったく問題がない!ということを丁寧に説明されていてとても安心感があったのを覚えています。
エンジンに異常というか、実際に片方のエンジンが停止してしまっていたというのが想像できますよね。電源が落ちてしまったのですから。
これはやばい!と思いましたね。その理由は、
日本発の便ではなく、外地発の便だったということ
日本の航空会社ですから、日本出発の便で日本に引き返すのなら、代わりの飛行機もなんとか手配できるでしょうが、外地発だともう絶望的です。
- 問題の飛行機を修理して直す
- 日本から別の飛行機を持ってくる
このどちらかの選択しかないからです。
しかも、エンジントラブルとなると交換するエンジンが必要になるかもしれませんし、そうなると部品もいろいろ必要だし、そう簡単に修理できるものではないのは明らかです。
けっこう絶望的かも、とこの時点で悟ってしまった私でした。(今日中に日本に帰るのは、という意味でです。)
結局日本に帰れたのは翌日でした
引き返したハノイの空港のゲート付近は本当にカオス状態でしたね。
ハノイというとビジネスマンの乗客が多いので、みなさん普通に翌日は仕事があるわけなのですね。日本に帰らなければいけない!
私はというと常に最低いちにちは余裕を持たせてスケジュールを組むようにしているので、翌日はおやすみを取っていました。
でもいちおうなんとか今日中に帰れるルートはないのかと検索しまくり!でした。ほかのみなさんも必死で、
「なんとか今日中に日本に帰してくれ!」
とスタッフさんに詰め寄っている人もいましたね。
でも、飛行機がないのですから無理な話しです。
- 修理するにしても
- 別の飛行機を日本から持ってくるにしても
今日中に帰るというのはほとんど絶望的なのでした。
もう1泊ホテルで豪遊!?
私もはじめのうちは今日中になんとかハノイから台北や香港経由などで、日本に帰るルートをネットで検索していたのですが、乗り継ぎも大変だし、フライトも深夜便だったりでなかなか大変そう。
もう今日中には帰れないんだ!と腹をくくることにしました。
結果的にはその国内某エアラインさんの手配で、そこそこなランクのホテルにもう1泊でき、しかも夕食&朝食ビュッフェまでついていましたからラッキーといえばラッキーだったかも。
もちろんホテルから空港までの送迎も含めてすべて手配されていました。
もしも翌日がフライトだったりしたらこんなのんきなことは言っていられません!
これでフライトに穴をあけることになればいち大事です。
とにかく余裕を持ってスケジュールを組んでいて本当によかったと、このときあらためて痛感しました。
エンジンは1つになっても飛べる
ここからは実際に現役のB777(ボーイングトリプルセブン)型機の機長から聞いたお話しです。
エンジンは1つでも問題なし
双発機(エンジンが2つの飛行機)であれば、1つのエンジンで飛べます。
今はほとんどの飛行機が右と左にエンジンが付いている、双発機(そうはつき)です。
ちなみに、長距離線ではエンジンが1つになっても最長で3時間ちょっと飛べる能力を持っていなければならないそうです。
それくらいしっかり作られているということですね。
エンジンが片方壊れると、離着陸と上昇・降下において、それなりの操縦技術が必要で、楽勝というわけではありませんが、基本の「き」なので毎年の定期訓練や定期審査でも必ずやるそうです。
逆に言えば、これがこなせなければパイロット免許は更新できないということです。
なので、CA(キャビンアテンダント)も含め、乗客のみなさんはまったく心配する必要はない!ということは断言できるそうです。
それは十分わかっている私でしたが、今回のユナイテッド航空のエンジンの映像はちょっとこわすぎでした。
エンジンの種類はいろいろある
同じ型の飛行機でもエンジンの種類がいろいろあるというのは意外と知られていないのかな、と思います。
今回のB777(ボーイングトリプルセブン)の場合、この機長の会社では4種類のエンジンがあるそうです。
同じB777(ボーイングトリプルセブン)でも飛行機の種類がいろいろあるのです。たとえば
- B777-200
- B777-300
- B777-200ER
- B777-300ER など
このそれぞれでエンジンやメーカーが違ったりするというわけです。
そのうちのひとつのエンジンの不具合ということであって、ボーイング777の飛行機に問題があるわけではないのです。
この理由から、B777(ボーイングトリプルセブン)に問題があるのでは?という報道は無知すぎ!だそうです。
飛行機がらみの予定はタイトに組まない
飛行機というものはさまざまな理由で遅れるものです。
私自身も長年CAをしていてよく感じるのですが、電車のように時間どおりに飛行機も運航されると思って予定を組むかたが本当に多いのですよね。
これはかならず痛い目に合います。
遅れるくらいならまだしも、今回のようにエンジントラブルでフライトが翌日になってしまう!なんてことも十分起こりうるのです。
特にお仕事をされているかたは、余裕を持ってスケジュールを決定することを強くおすすめします。
今回ご紹介した私のケースも、スケジュールに余裕があったからこそ「おかげで豪遊!」なんてのんきなことを言っていられたのです。
さいごに
最後にまとめです。
- 双発機(エンジン2つ)の飛行機はエンジンが1つでも飛べる
- その操縦はパイロットにとっては基本中の基本
- また同型機でもエンジンメーカーや種類がいろいろある
- 飛行機がからむ予定は決してタイトに組まない
いかがでしたでしょうか?
今回のユナイテッド航空のケースでは、けが人がひとりもでなかったというのが奇跡的でしたが、本当によかったです。
この先もしあなたが同じようなエンジントラブルに遭遇してしまったとしても、パイロットは十分訓練されているのでどうぞご安心くださいね。
パイロットを信頼して、これからもどうぞ快適な空の旅をお楽しみください。
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