こんにちは、パフォーマンスラブリーのCoco(@performancelovely)です。
今回はエアライン業界の飲酒に対する取り組みについてご紹介します。
パイロットの飲酒問題が騒がれだしたのは2018年のころでしたが、それ以前からたびたび問題があったのは事実です。
パイロットやCA(キャビンアテンダント)にはそんなにお酒が好きな人が多いのでしょうか?
確かにCAやとくにパイロットはかなりのストレスを日常的に感じている職業ですので、お酒を飲んでストレス解消というパターンもあるとは思います。でもみんながみんなそうではありません。
そしてご安心ください!エアライン業界の飲酒に関する取り組みはかなり真剣なので、もう同じような事態は起こりえないと断言できます。
一連の流れのきっかけは、やはりインパクトが大きかったこのJALの副操縦士のニュースでした。まだ記憶に新しい、2018年のことでした。
英ヒースロー空港で10月28日、日本航空(JAL)の実川克敏副操縦士(42)が、乗務前に規定値の9倍以上のアルコールが検出されたとして逮捕された。実川容疑者は罪状を認めている。
日本のNHKによると、空港に向かっていた乗務員用バス運転手が、副操縦士が酒臭いことに気づいて警察に通報したという。
BBC NEWS JAPANより抜粋
この便にはもともと機長が2人いたので、フライトは遅れて出発できたのですが、それにしてもおそろしいことです。キャンセルにならなかったのがせめてもの救いですね。
私たちエアライン業界に身を置くものにとっても、かなりの衝撃を持ってとらえられたニュースでした。
この後、国土交通省により旅客機の操縦士の乗務前のアルコール検査が義務化されたりしましたが、その後も似たような飲酒のケースがあとを絶たなかったため、各エアラインによるアルコール検査の決まりもどんどん厳しくなっていきました。
この記事ではそんなエアライン業界のアルコールに対する取り組みがどれだけ念入りで厳密におこなわれているのか、今の現状をお伝えします。
- エアライン業界の飲酒に対する取り組みが丸わかりする
- 私Cocoは国内・国外のエアラインで乗務経験のあるCA(キャビンアテンダント)です
- 現在もフライトをしている現役CAです
- さらには2017年から断酒継続中の、自称もとアルコール依存症です
それではさっそく見ていきましょう。
ストレスが多い仕事だから
CAやとくにパイロットには昔からお酒が好きな人が多いのは事実です。
仕事的にストレスの多い職業なので、フライトのあとにお酒を飲んでストレス解消にしている人は多かったですね。過去の自分ももれなく含まれます。
もうこれは20年近く前の私Cocoの体験談ですが、海外にフライトをした場合はクルー全員集合で食事と共にお酒を楽しむのが習慣でした。飲まない人ももちろんいましたが。
その日のフライトのよもやま話しなどで、それはそれは盛り上がりましたよ。
私も毎回のステイで、みんな一緒のこのお食事会をとても楽しみにしていたものです。
チャイニーズレストランとかなら大人数のほうが品数もたくさん頼めるし、大勢のほうが美味しいものも食べられて好都合だったのです。
今現在はステイ先での飲酒を禁止しているエアラインも多いです。
断酒に成功した私にはまったくの他人事なのですが、ステイ先でお酒が飲めないというのはけっこうきついと思います。本当にかわいそう。
ちなみに私Cocoの会社では、現在は乗務開始時間の24時間前からお酒は飲めなくなっています。
以前はほとんどエアラインで、乗務の12時間前から飲酒は禁止というルールだったのですが、現在はもっと厳しくなっている会社も多く、必然的にステイ先では飲酒ができなくなったりしています。
イギリスやオーストラリアなど飲酒やドラッグに厳しい国では、当時から空港でクルーに対する抜き打ち検査があったりしましたが、私は検査にあたったことはありませんでした。
またCAさんにはソムリエの資格を持っていらっしゃる方も多いですよね。私も昔は本気で資格を取ろうかと検討していましたが、未遂で終わりました。
余談ですが早まらなくてよかったです。お酒飲まないソムリエなんて存在するのでしょうかね?
フライトのたびに最低4回はアルコール検査
今現在はフライトの度に最低4回はアルコールの検査を行っています。
詳細はこんな感じです。
- 自主検査(自宅を出る前に検査)
- 事前検査(空港についてから検査)
- 乗務前本検査(フライト前に検査)
- 乗務後本検査(フライト後に検査)
どんだけ?って感じですよね。
本番の検査の前に事前の検査が2回もあるのは、アルコールで反応が出てしまうというケースをなんとか未然に防ごうと考えられた苦肉の策ですね。
事前の検査は各自がハンディタイプのアルコール測定器を会社から貸与されていて、そのマイ測定器で行います。
このハンディタイプのマイアルコール測定器は常にフライトにも持参しています。
私Cocoが実際に会社から貸与されているアルコール測定器はこれとは違うタイプなのですが、その価格を調べたらなんと27,800円(税別)でした!
こんな3万円近いアルコール測定器を全CAやパイロットに配布しているって、会社の本気度がうかがえますよね。
各エアライン負担が計り知れないので、国土交通省さまが負担してくれたらいいのに、なんて思ってしまいますね。
エアラインクルーのアルコール検査の詳細
ここからは私たちCAやパイロットたちが、フライトのたびに行っているアルコール検査の詳細を見ていきます。
各エアラインによってやり方はもちろんさまざまだと思いますが、だいたい似たような手順だと思います。
自主検査
自宅やホテルを出る前に自分で行うのが自主検査です。
もしこのタイミングでアルコール反応がでてしまったら、即会社に電話をして報告、そのクルーはその日のフライトはできないということになります。
出勤前の慌ただしい時間に、毎回アルコール検査をしなければならないというのはけっこうな負担ですよ。
事前検査
空港のオフィスに出勤してから行うのがこの事前検査です。
ちなみに自分ひとりで勝手に行うのではなく、オフィスにいる人の立ち会いのもと検査をしなければなりません。
ウィットネス(目撃者)が必要ということですね。
乗務前本検査
私たちCAはフライトの前にその日のメンバーの顔合わせの意味も含めた、ミーティングを行います。フライトの打ち合わせ会議みたいなものです。
そのミーティングのはじまりに、その日の乗務メンバーが全員そろってアルコール検査を行います。これがフライト前の本検索です。
この本検査はオフィスに設置されたアルコール検知器で行います。
空港のオフィスにはパイロットやCAのアルコール検査を管轄する、専任のアルコールチェック担当者が常駐しています。
つねにオフィスにいらっしゃるのです!シフト制で交代勤務で常駐です。
このアルコール検査官の目の届く場所でアルコール検査をしなければならないのです。やばくないですか?
ほかの人が変わりに検査をしてしまうといった、なりすましを防ぐためです。
念には念を入れてということですね。
乗務後本検査
その日のフライトが終了したタイミングで、飛行機の中で行うのが、乗務後の本検査です。
飛行機の中にもなんとアルコール検知器が搭載されているのです。この飛行機の中にある、アルコール検知器を使って検査します。
この検知器にはモニターがあり、画像が映し出され、オフィスにいる検査官が検査中のクルーの顔を確認できるようになっています。
飛行機の中で検査をする場合はもちろん、アルコールチェックを管轄する担当者がいないので、遠隔で監視できるようになっているのです。
これでほかの人が変わりに検査をしてしまうという、なりすましを防ぐことができるのです。
そもそも論としてフライト中に飲酒なんてありえないですけれどね(泣
アルコール検査は会社にも負担

この一連のアルコール検査をするために、各エアラインの負担しているコストは計り知れないです。
もちろん検査をする私たちにも、時間という意味での負担はかなりかかっています。
- 各自にハンディタイプのアルコール測定器を配布
- 専任のアルコール検査官を常駐させている
- 各ベースのオフィスにアルコール検知器を設置している
- すべての飛行機の中にもアルコール検知器を搭載している
これらすべて各エアラインが負担しているのです。
しかもこの配られたハンディタイプの測定器ですが、毎年新しいものと交換してくれています。
バッテリーの持ちの問題とかいろいろあるようですが、会社もなかなか大変ですね。
検査忘れは重大な失態
この一連のアルコール検査ですが、もし忘れてしまったらかなりの失態になります。
たとえばフライトが終わって、検査を忘れて解散してしまったとしたら、また全員空港に集合してアルコール検査を完了しなければなりません。
そのため検査漏れは発生しないように、あの手この手で会社は防止策を講じています。
パイロットやクルーのアルコールの問題が、あれだけたびたび世間を騒がせてしまい、みなさまの信用を失ってしまったわけですから自業自得な感じですね。致し方ないと思っています。
でも、なんで自分たちばかり?タクシーやバス、トラックの運転手さんたちも同じようにチェックするべきだ!なんてぼやいているキャプテンもいましたが。
このご時世ですからドライバーさんたちもちゃんとアルコールチェックは行っていると思いますが、エアライン業界ほどではないのでは。
自分は飲まないから免除はありえない

私Cocoは個人的にはアルコールはいっさい飲まないので本当に毎回、無意味なチェックをしているな、と思ってしまいます。
絶対にアルコール反応が出るはずがないのに、形式としてチェックはしなければならないというジレンマがあります。こんな人もたくさんいるのです。
今現在のルールだと基本翌日がフライトの場合、夜の晩酌もできないという状況なので、お酒をやめていて本当によかったとしみじみ感じている私です。
以前のお酒大好きな私だったら、もう仕事は続けていられなかったのではないか、とさえ思ってしまいますね。そんなに飲めない仕事は無理です、的な。
アルコールを卒業しておいて本当によかった!
私Cocoの断酒サクセスストーリーは別記事の、
「自分ひとりの力だけで断酒・禁酒は可能です!【アルコール依存克服】
体験談」
にてまとめておりますので、よろしければ合わせてご覧くださいね。
さいごに
エアライン業界において、アルコールの検査がどれだけ念入りに行われていて、かつどれだけ会社やクルーの負担になっているのかを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
でも私たちはお客さまの安全を守るという重要な仕事に携わっているのですから、これは当然のことです。
逆に言えば、ここまでの策を講じているのですからもうフライト中にアルコールの影響を受けているクルーが存在する、ということは決してありえません。
これは断言できますね。
みなさまどうぞご安心なさって、これからも飛行機を利用されてください。
それでは、また♡
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